大渡鴉 『椿ノ華ガ堕チル時』 （ガンガンノベルズ）

椿ノ華ガ堕チル時 (ガンガンノベルズ)

私は勘違いしていたのだ。
世界はもっともっと残酷だった……。

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家では居場所がなく，学校ではいじめられ，行き場の失くなった少女愛美．追い詰められた彼女は，ひとりの幼く美しい少女，椿と出会う．椿によって救われ，椿に溺れていく愛美．やがて．
『黒い少女達』と呼ばれる少女を中心に，五人の男女が織りなす悲劇の輪．不気味な魅力を持った少女に関わることで狂っていく人々の，悲劇が連鎖していくさまを，過剰な血や死体，暴力やセックスのドログチャを交えて描いていく．ドミノ倒しのようにスパイラルし繋がっていく悲劇は，テキストのテンポも非常に小気味よく，ホラーをやりつつもエンターテイメントであることも忘れていない．二章で広げた大風呂敷（ハッタリ）のまとめ方（ぶち壊し方）も上手かった．実在の悲劇を，名前だけ出しながら，うまくスパイスとして効かせているという．ほんと，名前だけで雰囲気作っているもんなぁ．見事．
ってことでレーベルからは予想出来なかった骨太なホラーでした．すげー面白かったです．私がホラー初心者ってこともあるのかもしれないけど，ガンガンノベルズにしておくのはもったいない（失礼）というか，もう少し広く読まれてもいいと思うんだよな．