大谷久 『いばらの呪い師 病葉兄妹 対 怪人三日月卿』 (ガガガ文庫)

いばらの呪い師 (ガガガ文庫)

いばらの呪い師 (ガガガ文庫)

「甘いものに中毒性があるなんて、嘘だぁ。初耳だぜ。人の体の八割は砂糖でできてるんだから、ボクくらいが正常さ」
「そっちの方が嘘だろ! おまえ、本当に人間か!」
「いや幼女という名の天使だ!」
「真顔で言うな、うっとうしい」

いばらの呪い師 (ガガガ文庫) | 大谷 久, 望月 朔 |本 | 通販 | Amazon

帝都に暮らす病葉公郎と病葉夕日は病葉呪術を操る呪い師の兄妹.その帝都に,かつて世を騒がせた怪人三日月卿が三年ぶりに現れたという.帝都の対オカルト部隊である治安維持局鬼灯機関の長・桜下屍人は,「目障りだから」との理由で,三日月卿の逮捕を公郎に命ずる.
第 4 回小学館ライトノベル大賞,審査員特別賞受賞作.超絶異能とヤンデレ妹と愉快な奴らの「帝都系異能バトル」.キャラクターと会話,ケレン味とハッタリで織りなす,ひとことで言うと西尾維新フォロワー的な.ストーリーそのものは素直.怪人は予告状を送りつけ華麗に仕事を終えたのち気球とともに去る,っつう様式美を厨二的異能で軽々ひっくり返す.ならではの味という点では弱いかな.世界観がもうちょっと作りこまれていれば良かったのかなとは思うけど,しかし妹(ヤンデレ,実は……),魔女(幼女),諜報員(怪力娘),秘書(メガネ)など,キャラの造形はかなりこなれている.ストレスなく,読んでて楽しかったのは確か.良かったです.