北元あきの 『竜王女は天に舞う3』 (MF文庫J)

「そうしたなら、あなたと二人で戦争ですわね。わたくしは、あなたとしか踊るつもりはありませんもの」
「そうだな。所詮この世は鉄と血でしか回らねえし、殺し殺されることでしか終わらねえ」
ヒューゴは凶暴な笑みを浮かべ、弄んでいた鉄球を握り締めた。
「仕掛けるぜ、エリーゼ。鏖殺の雄叫びを上げろ!」
「承知」

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第四帝国は蒼天世界で最も低高度にある常冬の浮島.傭兵ウーフーを捕える任務を受けた〈竜の箱庭〉のシグたちは,第四帝国へと降り立つことになる.待ち構えるは,迷宮と財宝を抱えると伝えられる魔城〈白鳥城〉.
〈血塗れの竜王女〉たちの殺し合い,〈ヴァルハラ舞踏会〉を描くシリーズ第三弾.落ちる,飛ぶ,ぶつかる,跳ねる,といった動作のひとつひとつをきっちり描いているのがまずなにより印象的だった.読んでてとても心地いいし,その延長線上にあるバトルがハッタリ抜きで迫力あるものになっている.ここは類似作品から一歩抜きん出ている感がある.ちょっとだけ明かされる竜王女ルノアの過去や,さらっとした説明なのに印象深く残る世界観も魅力的.ヒロイン三人が順繰りに見せ場を与えられるハーレム展開はさすがに性急すぎだったけど,しかし全方位に卒なく完成しているのは間違いない.今回も良かったです.続きを読める日を楽しみにしています.