犬村小六 『とある飛空士への恋歌3』 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

シャロンははじめて見る戦場の夜空に息を呑んだ。
言葉に置き換えることのできない、崩壊美とでもいうべきものが厳然としていた。

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空飛ぶ島イスラでの空の旅もおおよそ四ヶ月が過ぎていた.これだけの期間があれば,カドケス高校飛空科の生徒 48 名の間にも様々な感情や絆が生まれるというもの.目前に不安を抱えながらもそれぞれの青春を謳歌する日々.やがて,イスラはとうとう未知の空域「聖泉」へと辿り着く.
高校での厳しい訓練,青春.そして目的地への到着から空戦,暗転.起承転結の「転」にあたる三巻は,平和な日々とその終わりを描く.恋愛フラグや死亡フラグをあからさまにビシビシ立てつつ,お約束をまったく外さない.新しい発見はほとんどない.そういう意味では二巻同様,恐ろしくベタでかたい話ではある.つっても,結末にあるのがキャッキャウフフではなく悲劇となるとだいぶん印象も違ってくる(当たり前だ).ライトノベル的ではあるけどそれぞれの描写はしっかりしている.クライマックスの空戦シーンも見事だった.