- 作者: 里田和登,国道12号
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 文庫
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「肌を切り刻む医療は許せても、肌を見せる医療は許せないってわけ? あんた価値観の物差しに矛盾があるんじゃないの?」
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クローラこと IPI 症候群とは,秘密に対する中毒症状である.自ら定めた対象の秘密を知り尽くさずにはいられない,重度の依存症.そして,コンテンツこと IPI 配信者とは,IPI 症候群治療のため,クローラに対して秘密を提供する配信者である.最も秘密を持つものとは人間にほかならないのだから.
秘密を抱えながら,自分の生活をネットに公開し続ける.歪な生活を送るコンテンツたちの青春.第一回「このライトノベルがすごい!」大賞・金賞受賞作.ミスリードとは言わないけれど,「監視」ってのは導入部で示されるそれとはちょっと違うのね.中盤の,いかにもそれらしいぐだぐだした高校生活は良かったと思う.そういう意味では正しい「青春ドラマ」なのかな.しかし「クローラ」と「コンテンツ」のいる社会の仕組みと既存のシステムとの組み合わせなど,練りこみが甘いことが気になった.導入での説明もそうだけど,悪い意味で引っかかるところが多い.コンテンツのユイガの秘密など,見るべきところもあるのだけれど,あんま好きにはなれなかった.