- 作者: 日日日,x6suke
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: 文庫
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乱命の額には、それまで存在しなかったはずの──雄牛のような角があった。
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乱命の頬を涙が伝った。
あぁ天国で暮らすうちに、人間ではなくなってしまったのだ。
力が支配する閉鎖社会となった悪の理想郷「鬼ヶ島」を実質的に支配する「鬼」こと黄桜乱命.1000 年の時を生きてきた彼女の狙いとは.
「裏社会編」完結.ややこしいルールを追加した国盗りゲーム風にはじまり,どんなもんかなと思って読み始めたら,すげー良かった.「拾弐さつめ」から細々と張ってきた伏線をすべてきれいに回収し,なおかつロマンチックに収めるラスト.失礼ながら導入からはまったく想像できなかった.
暴力を徹底排除することで生み出された「正義」,それへの反抗から生まれた「悪」が,どのようにして恒常的な「平和」をもたらすか.そのために用いるアイデアにもびっくりした.似た仕掛けはおそらくディストピア SF なんかでも使われていると思うのだけど,それを「優しい」ものとして,説得力を持たせて描いている.ひょっとしてすごいことやってんじゃね? という.
シリーズのクライマックスも近いとのこと,楽しみにしております.