日日日 『狂乱家族日記 拾弐さつめ』 (ファミ通文庫)

狂乱家族日記 拾弐さつめ (ファミ通文庫)

狂乱家族日記 拾弐さつめ (ファミ通文庫)

もう若くはない。努力を重ねても届かない場所が、年をとるたびに増えていく。何をして、何を捨てるのか。誰も導いてくれず、責務ばかりが増えて、だんだん身動きがとれなくなって──大人になるというのは、年を重ねるというのは、あまり愉快なものではない。
自分はどこへ行って、何を目的に、どう生きたらいいのか。
どうすれば、いつか息絶えるそのときに、『素晴らしい人生だった』と笑えるのか。

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世界会議が終了し,大日本帝国は「正義」の名のもとに急速に変革を迎えつつあった.他方,光強ければ闇なお昏い.排除されゆく「悪」の者たちは,死なない少女黄桜乱命の企みのもと,帝都の正夢町そのものを巨大カジノ都市として作り替えていた.
新エピソード「裏社会編」突入.遊園地みたいなガチャガチャしたカジノの威容と,女たちの戦いがメインかな.仕切り直しってことでなのか,各キャラクターのエピソードが並行して賑やかに語られる.加えて,戦いのない世の中に戸惑い焦る死神三番(アラサー女子)やあとがきから,平和という名を借りた脱モラトリアム,つうもう一個のテーマがありそうに感じた.書き始めた当初は千花にいちばん年齢の近い高校生だった日日日が,今では銀夏と同年代(二十代中盤)であり思うところ云々,というあとがきを読んで,あーなるほどと納得した.上手く言語化できないけど,描きたいことはきちんと描き出せていたのではないかな,と思う.