七瀬川夏吉 『記憶の森のエリス ブラコン×記憶力ゼロ→大迷走』 (スニーカー文庫)

「私たちが行動する時、決断する時、全ては過去に基づいて判断するわ。逆に言えば、私たちの行動は全て過去によって決められているとも言える。そういった足かせや束縛からの解放……それが目的よ」

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「記憶の森」とは,人間のあらゆる記憶が集められる場所.十代の少年少女にしか見ることの出来ないその場所は,入り口まで案内する案内人と,中へ立ち入ることを許された守人によって守られている.失われた記憶を求めて,また無くしたい記憶を抱えて,少年少女たちは記憶の森を訪ねるのだ.
ザ・スニーカーに掲載された短篇+書き下ろしの連作短篇集.「『キ○の旅』みたいな感じ」(あとがきママ)を目指したとのこと.物語のスタイルや,これといって中身のないところまで,なるほどたしかにキ○に似ている.しかし,雰囲気小説と呼ぶにしてもいろんなものが足りない感じ.外界の影響を最小化するため,「記憶の森」に入るには全裸にならなければならないという設定が唯一最大の特徴になるかなあ.おかげでイラストの肌色率(モノクロだけど)は極めて高いのだけど,私ももういい大人なので…….