さがら総 『変態王子と笑わない猫。』 (MF文庫J)

変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)

変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)

「ああもう! なんでこう、うまくしゃべれないんだ! ぼくの言葉はどこいっちゃったんだ!」
ぼくには、ぼくの本音がわからない。自分のことなのにわからない。わからないから、さけぶ。

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一本杉の丘にある,笑わない猫の像には,「お供えを捧げれば、いらないものをだれかに押しつけてくれる」という噂があった.噂を頼りに丘に来て鉢合わせになったふたり,片や建前ばかりで本音を出せない男の子,片やすぐ本音が顔に出てしまう女の子.ふたりの願いはあっという間に叶ったものの.
第 6 回 MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞作.評判は上々のようで,なるほど良かった.なくした本音と建前をめぐってドタバタする男の子と女の子の話を,カジュアルでコミカルに上手くまとめあげている.テキストに使っている漢字とカナのバランスも良く,新人らしからぬこなれた印象を受けた.しかし,ストーリーに関してはもうちと深く掘り下げてくれればよかったのになあとは思った.もうひとりの「変態」をオチ要因に登場させることで,結論をうまいこと誤魔化されたというか先延ばしにされたというか.まあそんなところも含めてテクニックなんでしょうけれども,技量は感じられただけに気に入らない.というのが本音.