- 作者: 日日日,みことあけみ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/08/21
- メディア: 文庫
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そのまま、ふらふらと、悪夢のなかのように──頼りない足取りで逃げ去った。
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茜子の積み重ねてきた、幼くて、けれど貴かった、うつくしい恋は。
みにくい愛に敗れたのだ。
『恋の病』とは恋をすることで発症し,死に至る文字どおりの不治の病.治療はできず,進行を抑えるには心を外的に殺すしかない.治療のために連れ去られたあひるを助けるため,陀衣が選んだのはなかば都市伝説と化していた治療法『ハッピーエンド』だった.
『恋の病』の終わり.シリーズ完結.ここまでの伏線を一冊でまとめ上げようとしているため,かなり詰め込み,かつ説明しすぎで読み心地は決して良くはない.良くはないのだけど,結末へ向けての展開は凄まじかった.『恋の病』を発症しないようにしながら,種を存続させるために作られた「兄妹」制度がここに来て効果を発揮していた.『恋の病』に苦しむあひるを追う陀衣,「妹」としてずっと陀衣のそばにいた茜子.あてがわれた「兄妹」であることが,ふたりの感情のぶつかり合いを凄まじいレベルに引き上げる.そして極めつけは,陀衣があひるを救うためにとった方法.「編集部にも最後まで嫌な顔をされた」というラストは,率直に言って狂っていた.恋は病気であってなおかつ狂気でもあるということなんかな.
三巻の盛り上がりから素直な悲恋ものになるのかと思ったらとんでもなかった.えらいものを読んだ気がします.