小城昇 『名門桜樹学園 男クラ！』 （徳間文庫）

名門桜樹学園　男クラ！ (徳間文庫)

桜樹学園は東大京大に毎年何人も合格者を輩出する名門校．合格発表の手違いにより，入試の成績ワースト 20 名が合格と発表されてしまったからさあ大変．冷やかしで受験したようなバカばかり．今さら間違いでしたというわけにもいかない．苦慮した学園は，20 名を物理的に隔離した教室を用意して押し込めることにする．これが一年十一組，通称「男クラ」のはじまりであった．
学園中からバカにされる男たち 20 人は体育祭での一発逆転を狙う．第 8 回トクマ・ノベルズEdge新人賞受賞作．昭和テイスト……というか，子どものころに読んだ児童向け小説のような，元気なドタバタ青春コメディ．男だらけの「バカテス」というと分かりやすい気がする．恋愛要素はちょっぴりありつつも，基本的にはカラッとした男たちのどつき合いと友情が話の中心．男クラの面々や脇を固めるキャラクターがコミカルで楽しい．嫌味な生徒会長やら天然お嬢様やら，分かりやすく期待を外さない感じ．そんなクラスに女装（させられる）男子がいるのは時代の要請なんかな．
ラストも昭和風味のズッコケオチ．……というか，21 世紀にもなってこんな開きなおった脱力オチが読めるとは思わなかった．好き嫌いはあろうけど，私はこれ好きだな．皆も読んで脱力するといい．