おかもと(仮) 『伝説兄妹2! 小樽恋情編』 (このライトノベルがすごい!文庫)

伝説兄妹2! 小樽恋情編 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)

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俺はそれがうらやましかった。たくさんの女をはべらせているラジュがうらやましいんじゃない。自分だけを見ていてくれる女がいることがうらやましいのだ。

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詩人を志す商大生柏木は彼女が欲しくて欲しくてたまらなかった.俺は変わらねばならぬ! ということで友人たちと札幌の街へナンパに繰り出すも,当然のように玉砕.失意の柏木たちは,街で見かけたやたら鼻のでかいモテモテインド人(?)ラジュに弟子入りを志願する.これが小樽崩壊のはじまりであった.
ボンクラ詩人柏木と神様デシ子の兄妹による「小樽叙事詩」第二巻.一巻に比べるとおとなしい印象ではあるけど,流暢なテキストがとても楽しい.主人公で語り手の柏木も相変わらずろくでなしを貫いていて良い良い.そんなふざけた語りの合間合間,忘れたころに,詩情とは別の素の感情をスッと割り込ませてくるから油断できない.いちいちドキッとさせられた.詩人の一人称の語りというのも,語りを面白くすると同時に真意を分かりにくくする手なのかもなー,と.