- 作者: 森野樹,ぷちでびる
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いや、声っていっても、耳からっていうより頭の中から鳴った、みたいな感じですけどね。やっべえ、死んだら超ハイテクじゃん。耳いらずかよ。超テクじゃん。
ボトリンコーラ
「既存の概念に囚われている球児たちよ」
もし高校野球の女子マネージャーがスラッガーになって帰ってきたら
みなみの言葉に、急に漢字が増えた。「昨日は陳腐化する。スラッガーの言葉にもある」
「スラッガーじゃなくてなんとかッカーですよ」
誰かが言う。
表題作「転転転校生生生」.こちらからの再録だけど,この中ではいちばん出来がよい気がする.
身長二メートルで,「ちょっとだけがっちりむっちりしっかり」の女子高生の恋,「キスウ」.名前がドス子で語尾が「ごわす」という潔い一発ネタ.ドス子のキャラがもうちょい掘り下げできたら良かったのにな.
「ボトリンコーラ」は 500 ミリペットボトルの中で混じり合う意識意識意識.ギャグ方面に落とし込んでいるのは分かりやすいけど.
生まれてから一度も髪を切ったことのない綾小路は,ある事件をきっかけにバッサリと髪を切る.「ヘアサロン」は,ちょっと変わった話の多いこの本の中ではいちばん「らしい」青春ものだと思う.
「もし高校野球の女子マネージャーがスラッガーになって帰ってきたら」はまあタイトル通りの話.女子生徒がなぜ甲子園に出られないのか,という話は筒井康隆も書いてたよね.
「転転転校生生生」の結末にあたる「受験生生生生生」.悪くはないけど,なぜ締めくくりがこういう話になるのか,少し首をひねる.
講談社BOX新人賞Powers を受賞,今年 3 月にデビューした作者の連作短篇集.全体的にコメディ風味,テキストのキレもぶっ飛んだネタも良い.若い頃の筒井康隆からエログロを抜いたような感じ,というとほめすぎかな.嫌いなひとはとことん嫌いそうな作風だとは思うの.あと,テイストの似た短篇が続くので,読み終わるより前にお腹いっぱいになってしまった.いっぺんにではなくゆっくり読むべき本だったかもなー.