木下古栗 『いい女 vs. いい女』 (講談社)

いい女vs.いい女

いい女vs.いい女

【まとめ】
犯罪を犯す前に、病院へ行こう。

教師BIN☆BIN★竿物語

『ポジティヴシンキングの末裔』に続く木下古栗の二冊目の単行本.超大型書店に現れた立ち読み男とある書店員の話「本屋大将」,タイトルの時点で勝ち「教師BIN☆BIN★竿物語」,全裸で逆立ちする男の夢を見た岡本は,いい女を探して脳裏のイメージを上書きしようと試みるという「いい女 vs. いい女」短篇中篇三作を収録している.ノリは『ポジティヴシンキングの末裔』とほぼいっしょだと思うけど,いくらか読みやすくなっている,かな? 言葉のセンスやチョイスはいちいち素晴らしいのに,ストーリーに一貫性も(たぶん)意味もなく,しかもこのセンスが下ネタばかりに振り分けられているのはなんなんだろう.全裸で逆立ちする男の股間を指して「天日に干される珍味のよう」とか,目からウロコが落ちたわ.ブレがないのはいいことかもしれないけど,「単行本化を見送られ続けていた」(作者プロフィールより)のもすごくよく分かるという.楽しいんだけどね!