陸凡鳥 『武装神姫 LOST DAYS』 (ガガガ文庫)

武装神姫 LOST DAYS (ガガガ文庫)

武装神姫 LOST DAYS (ガガガ文庫)

「嘘をつくかどうかでなくともいい。……聞きたいのは、神姫が自分の意志で人間を手にかけようと思うか、ということなんです。神姫は人間を攻撃できない。それは呑みこめました。その前段階として、彼女たちは人に害意を抱けるのか。憎しみのあまり、人間を殺そうと考えることはできるんでしょうか?」

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西暦 2039 年.ひとりの男が死んだ.事故死として片付けられようとしていたこの事件の担当刑事,神宮寺八郎の前に現れたのは,全高 15cm の少女型ロボット,「神姫」のメイリーだった.
マスターを殺した犯人を探して,記憶欠損のあるアンドロイド(=神姫)と四十絡みの刑事がパートナーを組んで駆けまわる.帯の「メカ×少女×ハードボイルド」が嘘じゃなかったのでびっくり.今どきないくらいにベタベタというかガチガチの話を真っ正面から受け止め,ライトノベルらしい解釈を付け加えて,しっかりした物語を見せてくれる.テクノロジーや世界観の描写もちょいちょいくすぐりがあって良い感じ.ハードボイルドを意識した文章はちょっとカッコつけすぎだと思うけど,そういうところも含めて楽しかった.解決編でやや失速しかけた感が惜しかったけど,すごく良心的な SF ミステリだと思うのですよ.思わぬ良作でした.ノベライズだからとか気にせず皆も読んでみるといい.