大泉貴 『ランジーン×コード tale.3.5 コトモノたちの夏休み』 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.3.5 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.3.5 (このライトノベルがすごい!文庫)

もう世界は遺言詞による侵食を少しずつ受けている。
『言葉』は、世界の姿を確実に書き換えているのだ。
後手に回っていると、世界の変化から取り残される。
だったら、もう自分はとっくにこの世界から取り残されているのではないか?

あるいは、抵抗という名の犬

ランジーン×コード」シリーズのエピソード集.主人公ロゴの周辺の女の子たちのエピソード,「猫と水着と白兎」「ひねくれギツネからの伝言」.コトモノを取り締まる遺言詞犯罪対策課の刑事の話,「あるいは、抵抗という名の犬」.そしてラストエピソードの幕開けとなる絶望と訣別の物語「ゼムト・ライジング」の全四編.変わりゆく世界に生きるコトモノ側の論理と,「コトモノ」がどういうものか理解できない大人側の論理.それぞれの立場をエピソードを区切って描くことで,この面倒くさい世界観にしっかりとした厚みを加えている.短篇集という形式だからこそ出来ることをしっかりとやっている,いわゆるライトノベル的な短篇集とは一線を画する作品集になっていると思うのですよ.1 月,2 月の連続刊行の新刊がますます楽しみになる一冊でした.