木立嶺 『次女っ娘たちの空』 (講談社BOX)

次女っ娘たちの空 (講談社BOX)

次女っ娘たちの空 (講談社BOX)

「ひとつ訊いていいか?」
「かまわない」
「何で男湯が二つに?」
「この世界は、創世者である私の世界観を反映したものである。人間の世界観は、家族の中で育まれる。温泉宿という、性別が強調される場所で瞑想異常が発生したため、私の抱く家族と相続の観念が反映されたのだと思われる。
二つの男湯は、『長男』と『次男』、より適切な言い方をすれば、『後継者』と『非後継者』を象徴している。世界が元に戻ることは、跡継ぎが決定されることと同義である」

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高校入学の初日.新入生の桐岬透夜は,隣の女子高の同じく新入生・真夜中美朝に捕まり,長男であることを言えないまま,「次女っ娘クラブ」に無理やり入部させられてしまう.
次男次女はステータスだ! 希少価値だ! という第 7 回日本SF新人賞*1佳作受賞者初の長篇小説.基本的には部活ものというか,ハルヒオマージュの色がかなり強いかなあ.各々のキャラクターも似ているんだけど,ストーリーラインもかなり似ている.重要なキーワードを避けようとするあまり,設定がいびつになってしまっている感まである.タイトルにある通り,「次女」がキーだとは思うんだけど,嫡子や後継者がどうとかいう話が後付けにしか見えないのも辛いなぁ.