六塚光 『墜落世界のハイダイバー3』 (スニーカー文庫)

墜落世界のハイダイバー3 (角川スニーカー文庫)

墜落世界のハイダイバー3 (角川スニーカー文庫)

だが、ここはイセス・メリア、異世界である。
メドラニカを至上にして無二の教義と信じ、貧乳女性にいわれなき迫害を加える人々の姿を、神護は目の当たりにしてきた。オプスレイ大公、あるいはスキントン村のペドロなど。彼らは、貧乳女性を苛み、時には殺すことに、なんの良心の呵責も負わない──それどころか、正しいことをしているのだと信じてすらいた。
彼らを「メドラニカなんて間違っている」などと説得し、納得させることは可能だったろうか?
ノーだ。
考えるまでもない。
彼らを止めるには、殺すしかなかった。

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異世界イセス・メリアに墜落した異邦人(オーバージー)たちの戦争.読むたびに同じこと言うけど,「異世界」をしっかり作り込んでいるのがすごい.「メラドニカ」という,貧乳女性はひとに非ずという教義といい,ブレーベンブルク,ガウルバッフ,平原の民の勢力分布といい.メラドニカを根っこに置きながらも,論理はきちんと理に叶うように通している.容赦なく殺し,冷徹に奪う世界観は作者の「本性」がたぶん正しく現れている,と思う.ともあれ,非常に高いレベルで安定している戦記ものであることは断言できる.今からでも手を伸ばしてみるといいかもしれないよ.