- 作者: あきさかあさひ,玖条イチソ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/07/25
- メディア: 文庫
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「正義っていうものは、人それぞれが持っているものだから。絶対の正義なんていうものがこの世にあると思ったら大間違い。ただ──」
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(中略)
「ただ大事なのは、自分の信じる正義が本当に信じられるものなのか、いつも考えるのを止めないことだと思うの。思考が停止しちゃった瞬間から、その正義は劣化していくと思う」
千石寺洵は,高校受験の失敗が原因で引きこもりとなった高校生の少年.彼にかつて救われ,今では千石寺家のメイドとして働いていたかなめは,なんとか洵を救えないかと考える.その結果,「正義の味方計画」としてなぜかかなめが街で人助けをすることになり.
正義の味方が目覚める日はいつになるのか.作者自ら「集大成」とする物語は,「正義」あるいは「正義の味方」の話.今の社会における正義とは,正義の味方にできることとは,を,非常に簡潔な言葉で語ってゆく.デビュー作『渚のロブスター少女』(感想)とリンクする部分もあり.「考えることを止めた瞬間から正義は劣化する」などの言葉から,志をもって書いていることは感じられる.ただ,これを語りきるにはページ数が少なすぎる.スムースに話を進めるためだと思うけど,登場人物が揃いも揃って達観している印象.結論ありきに見えるため,テーマとちぐはぐすぎる.