ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田薫・福原美穂子訳 『特捜部Q ─Pからのメッセージ─』 （ハヤカワ・ミステリ）

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

そうだ、やはりあの女たちを消さなければならない。
彼は空を見上げた。いまだに神との闘いが続いていた。いつもそうだ。幼いころからずっと。
神はなぜ俺をそっとしておいてくれないのだろうか。

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未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の特捜部Q．カール・マーク警部補とアシスタントのアサドが取り組むことになるのは，スコットランドに流れ着き，数年に渡って放置されてきたボトルメール．
デンマーク発のミステリ第三巻．ボトルメールに残されたボロボロのメッセージが，ある復讐劇の存在を明らかにする．過去の狂気の発端と現在進行形で進むいくつもの家族の悲劇が入り乱れ，被害者と加害者と警官の視点が交錯する物語．狂気や悲しみとともに少しずつ明らかになっていく「犯人」の姿は出色だと思う．特捜部Q や周囲の面子もいつにも増して個性が出ている．あからさまな悲劇や狂気を描いているのに，先が気になって手が止まらずただただ楽しい．シリーズを追うごとに完成度がどんどん高くなっているのも頼もしい．面白かったー．