瑞智士記 『あまがみエメンタール』 (一迅社文庫)

あまがみエメンタール (一迅社文庫 み 3-1)

あまがみエメンタール (一迅社文庫 み 3-1)

このまま莉子ちゃんにあたしの肉を噛ませ続ければ、いずれ莉子ちゃんは、あたし無しでは生きていけなくなるかもしれない。
それでも、あたしの意思に揺らぎはない。
否、揺らいでたまるものか。
あたしの身体のあちこちには、まるで子馬の蹄みたいな歯型が、幾つも刻まれている。

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全寮制の小中高一貫校,青嵐女学院.外界から遮断された少女たちの園で,橘地莉子は思うまま,今日も渡会心音の肌に歯を立てる.閉鎖された空間における少女たちのいびつな恋愛を描く百合小説.『展翅少女人形館』(感想*1のプロトタイプになるのかな.病的な面を抱えたまま成長し,破滅の予感を感じさせる彼女たちの不安定さ.書かれた順番は逆なのだけど,テーマが非常に絞りこまれているためか,よりプリミティヴでより先鋭的に描かれていると思う.心音がロリータ・ファッションをはじめて身に武装(という言い方はしていないけれど)するシーンがすごく印象に残っている.良かったです.

*1:感想書いたの,ちょうど一年前だ