雨降波近 『ヒカルセカイ』 (Yuri-Hime Novel)

ヒカルセカイ (Yuri‐Hime Novel)

ヒカルセカイ (Yuri‐Hime Novel)

「ありがと、ミレットさん」
彩乃ちゃんは、笑いながら言う。
「じゃあ、まず一つ。ずっと一緒にいてくれるかな」
「それはもう。私だって、同じことを思っていますから」

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神様候補であるミレットは,不幸の神様になるための試験として,地上で不幸体質の女の子,彩乃の元に転がり込んでともに暮らしはじめる.相手を不幸にした上で殺さなければならないという試練を理解しながらも,ミレットは奔放な彩乃に惹かれてゆく.
空から落ちてきた女神候補と軽音部少女は惹かれ合う.もともとは一迅社文庫アイリス少女小説大賞の応募作だったという百合小説.難病もの・不幸もののフォーマットだと思うんだけど,物語を引っ張る「不幸」にどうも同情できない.難病も不幸も,原因がわりとはっきりしたものだし,もうちょっとうまく立ち回れば,と思ってしまう.あるいはふたりがどうしようもなく惹かれ合っていることに,もうちょっと説得力があれば気にならなかったんだろうけど,その過程もちょっと弱い.文章もやや固く,いかにも新人らしい作品だと思いました.