森田季節 『小説 いまいち萌えない娘』 (神戸新聞総合出版センター)

小説 いまいち萌えない娘

小説 いまいち萌えない娘

「この薬を飲むと、いまいち萌えない人間になってしまい、その代わり、長く生きることができるんです」
「どうして、いまいちになると長生きするのじゃ?」
「萌えるものも時代の流れとともに、萌えないものになります。美しいものや萌えるものは所詮ははかないものなんです。でも、いまいちなものは、いつまでもいまいちという中途半端なところに宙ぶらりんになってるから滅びることもないんです」

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神戸新聞の緊急雇用創出事業がきっかけで生まれたキャラクター「いまいち萌えない娘」を,垂水区に実家のある森田季節がなぜか小説化した短篇集.さすが,非常にそつなくまとまっている.むやみやたらと兵庫県の名物を推しており,ライトノベルと言うよりは,兵庫県のちょっと変わったご当地小説だと思って読むのがいいと思う.そもそもなんで生まれたのか知らぬまま買ってみた身なので,冒頭の「誕生のヒミツ」を非常に興味深く読んだ.全体を一言でまとめるなら,いまいちでもいい,一生懸命に生きればいい,ということでしょうか.いい話っぽくまとまっているのだけど,うまくごまかされた感じもあり.まあそういうゆるさがいかにもこのキャラクターっぽくて,良かった気がする.というかこの娘さん成人してるんだね.それがいちばんビックリした.