小木君人 『魔女は世界に嫌われる』 (ガガガ文庫)

魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)

魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)

「……あなたは僕と似ていますね」
「なに?」
「できないかもしれないことを“できる”と言わない。お互い、馬鹿正直だ」

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鍛冶職人である父を国王軍に殺され,妹のアンゼリカを連れて逃げ出したネロ.決して近づいてはいけないと言われる“不帰の谷”に潜り込んだ二人は,その奥で古ぼけた城にたどり着く.ネロはそこで世界中から恐れられる「魔女」と出会い,ある約束を交わす.
“重罪人の息子”と“魔女の娘”という世界中から忌み嫌われる二人の出会いと,旅の始まりの物語.古城,魔剣,月光揚羽,王影虫,貴種である角人.少年と少女が手を取るようになるストーリーと,ファンタジーな道具立てのためか,どことなく『ICO』のような雰囲気がある.ストーリーに沿って,ひとつひとつ手順をつぶしていくような流れも,どこかゲーム的で固い気がした.今回はプロローグにあたるためか,城と森だけで舞台が閉じており,小さくまとまっている印象もある.かいま見える世界観は面白そうなので,もっといろいろ見せてくれたならまた印象が違ったんだろうなあ.