「俺は魔女が欲しい。一人残らず、俺の前につれてこい」。火と鉄の国キャンパスフェローに仕える〈猟犬〉ロロは、竜と魔法の国アメリアで命を奪われた領主の言葉と、未来の領主を守るため、“雪の魔女”を求めて“鏡の魔女”テレサリサを伴いかつての姉の美しさは、一輪の花に例えられた。
北の雪原にありながら、情熱的に咲く赤い花だ。
アメリアと戦うための力と“雪の魔女”を求め、ヴァーシア人の支配する北へと向かう。魔女と若き暗殺者のファンタジー、第二巻。文化も死生観も異なる異民族の王と、迫りくる侵略者の間に立って、死んだ主だったらどう考えるか。アサシンとしても人としてもまだ未熟なロロの成長を丁寧に描いてゆく。ジュブナイル的でもあり、ダークファンタジーとしてもとても良い。“雪の魔女”とその弟の昔話を描いた序章が短編として単体で完成しており、つい何度も読み返してしまった。最後まで読んでから読み返すと、その間にあったであろう時間にいろいろな思いが湧いてくる。
こんな顔↓なのに聞き分けが良くて素直な“鏡の魔女”テレサリサが妙にかわいくて頼もしいのがおかしい。北欧神話を土台にしたこの巻から、作者の本領を発揮し始めた感がある。作中の言葉を信じるなら、魔女はあと五人。続きが楽しみなシリーズになりました。
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