深見真 『僕の学校の暗殺部3 その日、ロンサム・ジョージは死んだ』 (ファミ通文庫)

「生かしておくのは、いたぶったら楽しそうだからです。私たちの仕事は、人間を苦しめたり悲しませたりすることなので……」
「〈いるか人間〉ではないんでしょう?」
「はい。でも、その手伝いをしているのです」
「……なんのために?」
「生命哲学的自殺のためです」
「それは?」
「簡単にいえば、人間が嫌いだから、ということでしょうか」

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千葉県にある兜丘ニュータウンに〈地域コブ〉があるらしいことを突き止めた暗殺部員たち.威力偵察に向かったチームは壊滅.正袈裟高校暗殺部を中心としたリーコン・チームが兜丘ニュータウンへ向かうが,そこにいたのは己の意思で〈いるか人間〉に協力し,人間を殺すために活動する人間だった.
殺し合いをする人間と人間.ついに破裂する〈地域コブ〉.そして地獄と化す郊外のニュータウン.〈いるか人間〉と暗殺部の戦いのシリーズ三巻.独特の用語と引用に彩られた銃と暴力と殺人と拷問を,乾いた筆致で描く.当たり前のように,流れるように殺し,犯す.一巻二巻に引き続き,これが無茶苦茶カッコいい.ロンサム・ジョージになぞらえて孤独を語るくだりもとにかくカッコいい.オトコノコ向けのカッコ良さの極みではなかろうか.
退廃したニュータウンの描写には,「北東京の子供たち」(感想)と重なるところが多い気がした.子供がいなくなり寂れる一方のベッドタウン,使う者のいなくなった集会所での秘事…….時代性というやつなのかな.“終わりがないから、逆に言えばいつやめてもいい状態。”(あとがきより)という物語の性質も共通している,気がする.『僕の学校の暗殺部』と『ヨハネスブルグの天使たち』,どちらかに興味を持ったのであれば,もう一方も読んでみてもいいかもしれないね.