グレッグ・イーガン/山岸真訳 『順列都市』 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

トマスは、おなじみの、心休まる真実を想起しようとした。〈コピー〉は生き延びて、トマスの分の人生を生きる。この体はどのみち消え去る運命で、それは昔からわかっていたことだ。とは、人格が消滅して、とり戻せなくなることで、それならこれはではなく、ただの脱皮だ。おそれることなど、なにもない。
トマスが死の意味をとり違えていないかぎりはあらゆることをとり違えていないかぎりは

順列都市〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) | グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真 |本 | 通販 | Amazon

永遠を目指し,「塵理論」を元にセル・オートマトンから造られたTVC宇宙と,別の物理法則が支配する人造宇宙のオートヴァース.ふたつの新しい宇宙がもたらす可能性について.〈コピー〉が身近なものになりつつある時代を経由した先にある「死」の意味だとか,異なる宇宙の法則のせめぎあいだとか.2045年という身近と言ってもいい近未来からスタートする物語が,すごい世界へと飛躍するこの感覚よ.今ごろ読んだのかと言われそうだけどさすが,よくわからないなりにわくわく,すごく面白かった.