無嶋樹了 『ハガネノツルギ Close Encounter with the Ragnarek』 (HJ文庫)

ハガネノツルギ Close Encounter with the Ragnarek (HJ文庫)

ハガネノツルギ Close Encounter with the Ragnarek (HJ文庫)

「私はね――“正義の味方”。……生まれながらの“救世”の“執行者”」
彼女は自分自身を、そう表現した。そして、玖朗が先ほどの“説明”を受けた時と同じような表情をしていたのか、最後に再び言葉が足された。
「と、言ったらあなたは、信じられる?」

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「魔法使い」にして「正義の味方」を自称する少女,九季塚鋼音に命を救われた高校生,矢上玖朗.別世界の“奇跡“に貫かれた玖朗は,一目惚れした鋼音にとともに“非日常”に足を踏み入れることを決意する.
第4回ノベルジャパン大賞銀賞受賞作.3年前の作品ではあるけど,それとは関係なく懐かしい,というかやや古い感じはする.事件が少年少女の周辺でしか起こっていないように見えるからかな.日常の描写が弱いぶん,非日常も説得力が薄いのか.「正義の味方」がなんで正体を隠してこそこそしないといかんのか,という言い分はもっともだと思うけど,「正義の味方」や「英雄」についての語りもちょっと不十分かなあ.