黒史郎 『未完少女ラヴクラフト 2』 (スマッシュ文庫)

未完少女ラヴクラフト 2 (スマッシュ文庫)

未完少女ラヴクラフト 2 (スマッシュ文庫)

定まった輪郭を持たず、自在に形を変ずる可塑性。
大海に君臨する、見る者から理性を剥ぎ取る悪夢の顕現。
ネアは、その名を呼べなかった。
ラヴは、呼ぶまでもなかった。
実際に見たことはなくとも、古い夢の中の記憶として誰もが、その姿を脳に刻んでいた。
嘲笑する泥濘。
旧支配者。廃神。
その名は――クトゥルフ

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美感崩壊禍(メイシュトロフィウム)によって崩壊した芸術の国ウルタールを訪れたラヴたち一行を迎えたのは,二万の猫と,黄衣の王.美少女化したラヴクラフトに続いて,美少年化したアンブローズ・ビアス登場の二巻.ラヴクラフト「ウルタールの猫」に,ロバート・W・チェイムバーズ『黄衣の王』,黒史郎「ラゴゼ=ヒイヨ」などから拝借(最後は自身の作品だが)した世界観から生み出された世界は非常に完成度が高い.さすがの狂気である.一巻(感想)に比べると説明調が強いかなーと思ったけど,脚注も相変わらず親切だし,クトゥルフ神話をあんま読んでない自分でも原典にあたってみたくなる.良いものでした.まだ続く感じなのかな?