花間燈 『猫耳天使と恋するリンゴ』 (MF文庫J)

猫耳天使と恋するリンゴ (MF文庫J)

猫耳天使と恋するリンゴ (MF文庫J)

「だって――」
優しくて頼もしかった天使の声が、ひどく冷たく鳴り響く。
「天使の林檎を食べた男性は、その果実に“恋愛感情”を食べられてしまうのですから」

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八百屋で見つけた林檎に一目惚れし,衝動的に食べてしまった高校生の一樹.その林檎は,どんな願いも叶えることができる「天界の林檎」だったからさあ大変.天界から落ちた林檎を追って,猫耳天使やら林檎を狙う悪魔やらが一樹の前に現れる.
恋愛感情を食われた高校生男子と幼なじみの微妙な距離感の話.第9回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作.タイトルに反して猫耳天使は脇役に徹しているかな.○○が××であることはすぐに分かるんだけど,ストーリー全体をつくる大仕掛けは面白い.ただ,全体のトーンが淡々としているので損しているかなあ.“恋愛感情”がないことの意味がいまいち生きてないし,主人公を筆頭に登場人物が恐ろしく枯れているのが淡々っぷりに拍車をかけている.悪い作品ではないと思うけどもったいないかなーと思いました.