ツカサ 『国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ』 (富士見ファンタジア文庫)

「――イスカは敵になり、リィンはエルファレスで幽閉されている。たった二人を笑顔にしたいだけなのに、障害はとてつもなく大きい。今の世界じゃ、二人は幸せになれない」
スピネルが“世界”という言葉を聞いてびくっと反応した。
「だからマスターは、世界を殺すのですね?」

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エルファレス皇国の第三皇子エルク・リードは,魔導大国フレアリアの魔導学院で「友好関係」のための「人質」として日々を送っていた.ある夜,街なかで起こった刃傷沙汰に巻き込まれたエルクは,自分の国でクーデターが起こったことを知る.
世界を殺す力を持つ少女兵器とともに,平和で争いのない世界を創ることを目指すファンタジー.ライトノベルレーベルのファンタジーとしてはたぶんオーソドックスなものだと思う.目指すべき正しい世界があり,そのための“正解”がある,という青い理想が何度も何度も強調されるけれど,具体的な方法は模索中.そんなわけで,表紙はこんな感じだけど,作者のこれまでの作品の中ではいちばんジュブナイルっぽい作品となっている.国際関係とか抑止力としての魔法とか,それなりに踏み込んで書こうとしているようには見える.けど一巻は導入編に終始していて,まだ面白いともなんとも言えないかなあ.