丹羽春信 『あれは超高率のモチャ子だよ!』 (スニーカー文庫)

「晃さん! この西崎先輩という方、ロボットです! 間違いありません!」
「はぁ?」
「だって、可哀そうなアホ毛に対してこの冷酷さ! これはもう血も肉も魂も処女膜もない、ロボットに違いありません!」
処女膜は! せめて処女膜だけはあげて!

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モチャ子とは,帝釈学園で流通している特殊な紙幣のことである.学園において,モチャ子で買えないものはなく,モチャ子は神であり価値であり人権である.しかし実態として,学園のモチャ子経済は執行局と公安局の二大組織に掌握されていた.
ジャッキー・コーガン』を下敷きにして書かれたという第20回スニーカー大賞特別賞受賞作.大金(モチャ子)を賭けたゲームや騙し合いの数々は,緊張感よりもテンポの悪さが目立っていたような気がした.キャラクターの魅力が勝っていたと思うのだけど,そのキャラクターが,ストーリーのしめるべきところとゆるめるところをうまくコントロールしたと思う.彼女はたいしたアホ毛娘だよ.なんだかんだと楽しかったです.