まほろ勇太 『絶対彼女作らせるガール!2』 (MF文庫J)

絶対彼女作らせるガール!2 (MF文庫J)

絶対彼女作らせるガール!2 (MF文庫J)

「立ち向かいなさい。――あたしが、一緒に戦うから」

絵馬と「練習彼女」の間柄になった大地は,周囲のやっかみから文化祭のミス・ミスターコンのクラス男子代表に選ばれてしまう.男女ペア部門に向けて,女子代表に選ばれたみりあの指示で鍛錬を行うことになる.そんな折り,いつもみりあを小馬鹿にするモデルの杏南が転入してきたことで,みりあの闘志に火がついた.

「超弩級正統派青春ラブコメ」第二巻.ほどほどにまとまっていた印象のある一巻(感想)から,個別のキャラクターの事情に一歩踏み込んだ巻.文化祭のミス・ミスターコンという,ラブコメ的にはよくあるイベントのなかで,「努力」が持つ呪いのような何かを描く,という.みじめさを燃料にして「変えられるものはなんでも変える」という信念を持ち,努力に努力を重ねた結果として存在する自分.それでも才能には勝てず,自分以外の周囲まで燃やし尽くしてしまうという残酷さ.たしかに丸戸史明っぽいかもしれない(あとがきによると十年来のファンで,ホワルバ2の考察を一万文字ほど書いたこともあるのだとか).

少しテキストが足りないところがある気もしたけどこれはレーベルの都合でもあるのかな.帯にある通り,とてもラブコメらしい正統派のラブコメなのは間違いないのだけど,なんというか,とても信頼できる物語を書く作者だな,という印象を受けました.