- 作者: 深見真
- 出版社/メーカー: マッグガーデン
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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シビュラシステムの根っこには、社会的ダーウィニズムと優生学がある。人間を社会にとって「有用」か「不要」に分類するシステム。不要な人間を排除することに疑問を覚えないことが「よき市民」の条件――しかし、ここで常守の理解は矛盾によって遮られる。それが「よき市民」の条件だというなら、なぜ自分の犯罪係数は悪化しないのか?
西暦2116年.包括的生涯福祉支援システム〈シビュラ〉によって幸福な社会を完成させた日本政府は,シビュラシステムを海外に輸出するようになっていた.長い内戦にあえいでいた
常守朱と狡噛慎也は東南アジアで再会を果たす.脚本家自身による劇場版のノベライズ.システムによって生み出されたユートピアと,それを良しとしない者たちの抵抗という,暗い影に覆われた物語.オリジナルのアニメ(こちらもノベライズしか読んでませんが)と同様,古き良き香りを引き続き持ちつつ,劇場版らしい風呂敷を広げた,社会派SFエンターテイメントに仕上がっていると思う.さらっと読めるのに不思議な余韻が残る.アニメのノベライズというだけでなく,オールドSFファンにもおすすめできそうかな,と思いました.