- 作者: つかいまこと,吉川達哉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/01/24
- メディア: 文庫
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カニを捕まえたいのは、食べたいからだ。食べることで、生きられるから。
だとすると、自分たちは「生きたい」から「死ぬかもしれない」ことをすることになる。生きたいという気持ちが、危ないことをさせる。サエはいつもここでわからなくなる。
死ぬほど危ないことをしなければ生きられないのだとしたら、生きるというのは何なのだろうとサエは思う。恐かったり、痛かったり、寒かったり、お腹が空いていたり。そんなのを抱えて、自分たちはどこに行こうとしているのだろう。
氷河期の到来による滅亡から逃れるため,人類がデータ世界へと移住して長いときが経っていた遠い未来.しかし,棄てられた物理世界にも,棄種と呼ばれるわずかな人間が生き残っていた.サエとシロ,ショータの三人は,暴力が支配する物理世界で,死に怯えながらも力を合わせて生きてきた.
飢えと暴力に怯える物理世界の人間は「生」を渇望していた.データ化され,