林星悟 『ステラ・ステップ』 (MF文庫J)

「どうしたら、あんな風に笑えるんだろう」

ふと口にして、すぐに疑問が湧く。

私は、笑いたいの?

むかしむかし。たくさんの隕石が墜ちてきて、この国は一夜にして砂漠となってしまいました。人々は新しい国家を建て、闘争や略奪を繰り返していました。暴力の代わりとして使われたのは「アイドル」たちの「戦舞台(ウォーステージ)」。感情を殺し技術を高めることだけに興味を抱いていた「砂の国」の無敗のアイドル、レインは、少女ハナに初めての敗北を喫する。

アイドルは兵器に、ステージは戦舞台(ウォーステージ)に。そこには熱も喝采もなく、負けは許されない。変わり果てた世界を、正反対のふたりのアイドルがぶっ壊す。アイドルとアイドル、アイドルと世界、親と子。あんま良い例えではないけど、SHHisから始まり「朝焼けは黄金色」に着地したような感覚があった。ステージから立ち上がる力と熱の描写はさすがの一言。今月出る二巻も楽しみです。

大丈夫だ。何も心配することはない。

これが第一歩なんだ。虹を渡って歩きだすための、今日がその一歩。

今日ここから始まるんだ。二人のアイドルが、世界を壊す物語は。