三鏡一敏 『ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理~』 (電撃文庫)

ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理~ (電撃文庫)

ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理~ (電撃文庫)

「エインヘリヤルらの数はもうじき二十万に手が届くという。海神エーギルから買い占めた宴用の食糧も、底を突くのは時間の問題。更に買い付けようにも備蓄の黄金が持たんし、そもそもエーギルが持つ食糧とて無限ではない。どうにか打開策は出せんものか……」

ここはヴァルハラキッチン.セイことセーフリームニルは,一日一回死んでも生き返るという己の体質を利用して,エインヘリヤルたちの食糧をやっていた.ヴァルキューレ九姉妹やアース神族たちに仕えながら日々を送っていたセイは,いきなり現れたロキに振り回されることとなり.

第22回電撃小説大賞金賞受賞.北欧神話世界の日常をオールスターで描く「“やわらか神話”ファンタジー」.特に変わったことが起こるわけではなく,固有名詞をググったり出典を調べながら読むのが楽しいタイプの小説.北欧神話って知ってるようで,実は知らないことがかなり多いんだなあと思い知ること請け合い.空気を読まないネットスラングとか,ちょくちょく挟まれる露骨なおっぱいネタに水を差されることが多いのが気になった.悪い小説ではないんだけど,変なところで読者を選ぶ話になっている.ちょっともったいないような.