旭蓑雄 『ヒロインレースはもうやめませんか? ~告白禁止条約~』 (電撃文庫)

テーブルに突っ伏すと、泣きそうになった。

ちくしょう、どうしてアタシがこんな目に……。働かないと生きていけないとか、こんな世の中は間違っている。別にアタシだって、我がままは言わない。漫画読んでゲームしてアニメを見ていればそれで幸せなのに……。

ヒロインレースものラブコメでデビューを飾り、炎上の末に打ち切られた高校生漫画家、錬太郎は次回作の構想を練っていた。新作はヒロインレースを否定するラブコメにしたいと考える錬太郎だったが、担当編集はそれを拒否。新作を連載したいのであれば、彼女を作れとの条件を出す。

ヒロインレースを排除したいと願う高校生漫画家が、知らずしらずのうちにヒロインレースの中心になっていた件。お仕事小説や小説家の悩みを書いた小説は多いけど、漫画家をしっかりと書いた小説はそこそこ珍しいのでは。

高校生漫画家である主人公がモテまくるのは釈然としないところもあるけれど、漫画一直線のいわゆる漫画バカなところは好感が持てる。色々なラブコメからネタを引いているように見えるのだけど、最近のラブコメを読んでないのでなかなか難しい。まあ細かいことは気にせず読める、ライトでポップなラブコメだと思います。