ツカサ 『明日の世界で星は煌めく3』 (ガガガ文庫)

「貫け」

空気を裂く音と共に、加速された石が撃ち放たれた。

ドバッと赤く弾ける屍人の頭。

これまで何度も見た光景。グロテスクで現実味のない惨劇。

――人間は嫌い。

でも、だからって殺したいわけじゃなかった。死んで欲しい人たちは大勢いたけど、大嫌いな人のために自分の手を汚すなんて割りに合わない。

京都から東京へ。終末の原因が帆乃夏の姉、春香にある可能性を知った由貴たちは、日本魔術師連盟本部へと向かう。

終末を迎えた世界で、ひとつの恋が終わった。ポストアポカリプス・ゾンビ・百合・サバイバルロードノベル、完結。テーマゆえか、いろいろあったはずなのに、淡々と終わった印象が強い。何かを始めるためではなく、静かに終わらせて、続けるための物語、というかな。食い足りないといえば食い足りないし、これでいいのだといえばこれでいい。何を求めて読むかで、評価が大きく変わりそうな小説だと思います。