香坂マト 『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います4』 (電撃文庫)

「“残業と休日出勤は仕事が捗るからありがたい”とか言い出したら終わり、終わりなのよ……末期症状なのよッ! いつの間にか自分の平穏よりも仕事の優先順位が高くなってしまっている証拠……! それでいいのかアリナ・クローバー、いやいいわけがない! 目を覚ませ! 休日と定時帰りを潰されてありがたいわけあるかあああ!!!!」

今年は四年に一度の闘技大会。窓口担当に指名されてしまったアリナはまたもや地獄の残業の日々。そんな深夜残業のある日、アリナは闘技大会の賞品である貴重な純遺物(レリック)をうっかり壊してしまう。このままでは純遺物(レリック)を壊せる力を持っていることが知られてしまう。こうなったら、アリナ自らが出場して優勝してごまかすしかない。

この世界には冒険者ギルドのほかにもう一つのギルドが存在した。ファンタジー世界のお仕事コメディらしい導入の第四巻。始まりはドタバタだけど、絶対死なない、誰も死なせないという信念が、主人公の強さと、事務という仕事(残業つき)に根っこからしっかりと結びついている。物語として強いというか、文字通り、芯が通った物語になっているというか。今回で「白銀の剣」のメンバーの話はひとまずひと終えて、どういう方向にストーリーを広げていくのか。楽しみにしています。