池田明季哉 『アオハルデビル』 (電撃文庫)

だとしたら。

青春は罪なのだろうか。

ある日の夜。忘れたスマホを取りに学校に忍び込んだ在原有葉は、同級生の伊藤衣緒花が屋上で燃え上がる姿を目撃する。有葉を脅して強引に口止めする衣緒花は、「悪魔」を惹きつけていた。

その夜、僕の青春は炎とともに産声をあげた。元VOGUE編集長の言葉をエピグラフから始まる、「悪魔」に憑かれた「青春」の物語。モデルとして活躍する重圧と、自分で選んだ厳しく恐ろしい「青春」と、自分でも気づいていなかった理想の「青春」と。ファッションや音楽に対する強いこだわりを感じさせるストーリーは、不思議なリアリティラインを保ったまま進んでゆく。リズムのあるテキストでサクッと読めるけど、意外とちゃんと飲み込むのが難しいタイプの青春小説だと思う。