てにをは 『また殺されてしまったのですね、探偵様 4』 (MF文庫J)

「機械と人間――愛する者同士が現世で結ばれないことに絶望して心中した。それならそれでもいい。心中するのにここまでバラバラにする必要があるかな? 色気も何もない」

「色気って」

「そこに何か強い怒りのようなものを感じるのは私だけかな?」

屈斜路湖上に建設された屈斜路刑務所、通称シャーロック・プリズン。一万人を超える受刑者を収容したこの刑務所は、アンドロイド、ガイノイドから構成されるオートワーカーを擁する最先端の研究実験施設でもあった。ある日、男性受刑者とガイノイドの看守が心中したとみられる事件が起こる。現場は密室。人間を殺せないはずのロボットは、いかにして心中を果たしたのか?

シリーズ第四巻は「シャーロック・プリズン殺人事件」前後編。湖上のクローズドな刑務所、密室の心中事件。ロボット三原則に縛られたロボットは、ひとを殺すことができるのか? あまりに古典的なテーマに、死んで生き返る探偵が挑む。ロボット、アンドロイド、ガイノイド、セクサロイドの現代的な解釈を含め、古めかしいテーマに新しい回答を出すことに成功していたと思う。前も書いた気がするんだけど、「死んでは生き返る探偵」に、ちゃんと意味を持たせようとしているのも良い。わりと現代SFミステリ入門に向いていると思うんだよね。巻を追うごとにしっかり面白くなっているし、次の巻あたりから物語が大きく動きそうなので、ひとまず手に取ってみてもいいかもしれない。

「遠からず世界は神秘(オカルト)論理(ロジック)が入り混じり、ボーダーレス化していくだろう。事件も変わっていく。なら探偵も変わらなきゃな」