「私はあなたのことが憎いです。私たちのテロがお遊びじゃないって、思い知らせてやりたい。でも、同時にあなたを救いたいとも思っているんです。どうか、わかってください」
胡桃が震える声で発しているのは、間違いなく本音だった。
「あなたのために、あなた自身のために、決断してください。お願いです」
ただ幸せを切に願う、僕らの本音だった。
「でないと、死んでしまいます。あなたの生命か、心か、どちらかが先に」
文化祭で学校へのテロを成功させた蓮と胡桃。だが、腐りきった学校は変わることはなく、何事もなかったかのように元に戻っていた。そして迎えた夏休み。ふたりは新たなテロを企てるが、学年トップの優等生、七々扇奈々に犯行を知られてしまう。学校にバラされることを恐れるふたりだったが、七々扇は自分もテロのグループに加えてほしいと言い出す。
暴言とハラスメント、洗脳で腐りきった高校へのテロ。だが、そのテロは学校ではなく本来救うべき者を攻撃していた。私怨による復讐、自分たちと同じ立場の人間を救うためのテロ。しかし、現実はそんなに単純にはできていなかった。
ふたりきりの学校へのテロを描いたピカレスクロマンの第二巻。見るべきものから目をそらして、テロを敢行していたふたりだけの世界は、闖入者によって破綻し、変化していく。恋愛、成長と合わせて、これ以上なくまっすぐ描かれた青春ピカレスクロマンだと思う。あと一巻に引き続いて稀に見るエッチさですね。キスはまだしも、中盤でそういう関係になるとは思わなかった。繊細過ぎるあとがきを公開して、世にその意図の評価を問うてほしいな、と思っています。
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