「改めて思うの。麗良が好きになったのが、あなたで良かったって」
他の誰でも成立しなかった。バラバラに砕けてしまった。彼のおかげで今がある。感謝しかないはずなのに、だったら手放しに喜べるのかといえば、人の心は厄介なもの。本人でさえ制御は利かないし、本質を捉えるのは容易くない。
凛華は、戸惑っていたのだ。あのとき、胸の奥に生まれた感情の正体がわからず。
天馬にキスをした麗良、それを陰から見てしまった凛華。三人の間に漂うぎこちない空気と微妙な距離。そのまま夏休みを迎えようとしていたある日、麗良は唐突に夏合宿の開催を宣言する。
夏休み、海、水着、合宿。ラブコメのお約束の舞台で、それぞれの本音がぶつかりあう。三角関係ラブコメの第三巻。嫌味のないキャラクターたちの正面切ってのやり取りが気持ちいい。変にひねくれてないし、遠回りもしない。ベタな道具立ての今回において特に際立っていた。読むたびに毎度言っていることだけど、全員幸せになってほしいと素直に思える、いいラブコメだと思います。しかしどうでもいいことだけど、年上好きの例えにペタジーニを出す24歳女性っているかな……