宮澤伊織 『裏世界ピクニック8 共犯者の終り』 (ハヤカワ文庫JA)

付き合ってるとか、恋人とか、結婚したとか、そんなものは全部、〈共犯者〉よりつまらない関係にしか思えない。なにしろ私たちはもう、“この世で最も親密な関係”なのだから。

私は最初から、いちばん強力な関係を提示されて、それを呑んだ。

だから今さらその下位互換的な関係になろうと言われても、まったくピンと来ないのだ。

裏世界で空魚と鳥子が出会って一年。閏間冴月の脅威が去った今、空魚は眼の前の鳥子と、己の感情に決着をつけるべき時が来た。

空魚と鳥子、二人の関係のまとめと精算の巻。これまで明かされてきたふたりのバックグラウンドをすり合わせて、〈共犯者〉と「恋人」の違いを、そしてふたりの行き着く先を描く。ずっと〈共犯者〉だったふたりの「共犯者の終り」ってそういう意味なのか、と膝を打ちましたね。もはや敵はいない無敵感があった。