紙城境介 『継母の連れ子が元カノだった10 手を伸ばせれば君がいる』 (スニーカー文庫)

私たちは恋人。

私たちは家族。

どちらもやめるつもりはない。

そうする限り、私はきっと、幸せでいられるだろう。

きょうだいになってほぼ一年、水斗と結女は再び恋人になった。ひとつ屋根の下、両親に内緒でひっそり浮かれて過ごすふたり。そんな三月のある日、両親が遅めの新婚旅行で二泊三日、不在になるという。

ついにやってきた、ふたりきりのタイミング。再び恋人になったふたりが、恥じらいと意地の張り合いの末、ついに一線を越えるまでの、一月から三月までの出来事を描いた第10巻。初詣、試験勉強、バレンタイン、ホワイトデーといった学園ものの定番を、それぞれの立場から群像劇風に描いていくのが非常に効いていた。男女のバレンタイン観の違いが、それぞれの立ち位置から対象的に描かれているのが特に印象的だった。新学期を迎えてどういう方向に進むのか、引き続き楽しみにしています。