「行くにきまってんじゃん」わたしは言った。
好奇心がすべてに優先する。
未来にいけるチャンスをみすみす逃すほどわたしのロマンは枯れちゃいない。
推理小説「探偵青影の現金出納帳」。青春小説「イチウケ!」。科学小説「FUTURE BASS」。幻想小説「ラクア=ブレズノと死者の記憶」。恋愛小説「恋と病」。同じ街を舞台に、章ごとにがらりとジャンルも登場人物も変わる短編小説が交錯し、迎えたクリスマスイブの夜。第30回松本清張賞受賞作。ある章のできごとが、他の章では別の意味と視点を持ち、ひとつの実を結ぶ。チュンソフトの『街』のような、といえばわかりやすいはず。ひとつひとつの短編はおとなしめだったと思うのだけど、きれいに収まったエピローグは良かった。