十利ハレ 『君を食べさせて?私を殺していいから』 (スニーカー文庫)

思春期の恋心ほど、陳腐なものは他にないだろう。

でも、一瞬でも何かに狂える人生なら、それは価値のあるモノだと思うのだ。

誰にも打ち明けられない原因不明の殺人衝動に悩まされていた高校生、有町要は、ある日、クラスメイトの旭日零にその事実を知られてしまう。彼女も同じく、原因不明の吸血衝動と再生能力に悩んでいた。秘密の悩みを抱えるふたりは、互いの衝動を満たすため、秘密の契約を交わす。

狼男と吸血鬼の、普通じゃない秘密の依存関係を描くラブストーリー。ひねた会話のセンスとテンポに、どことなく西尾維新を感じた。個人的にはあまりピンとこなかったんだけど、最初のかったるい感じが、ちゃんとその後のストーリーにつながるのは評価したい。ふたりきりで閉じた共依存が好きなら読んでみてもいいかもしれない。