「
簡単なことですよ、同類 」
戦場帰りの元軍医、ノーマン・ヘイミッシュは薄暗い部屋で拘束されていた。尋問を受ける彼がこれから語るのは、4人の少女とともにバケモノに立ち向かった記憶。
第30回電撃小説大賞銀賞受賞。舞台は高い城壁に囲われ、風の吹かない城塞都市バルディウム。密室殺人、切り裂き殺人、怪盗事件といった難事件に、元軍医と四人の《アンロウ》の少女が挑む。引用部とあらすじでおわかりの通り、ホームズパスティーシュのにおいがする異能ラブコメ。一事件ごとにバディの少女が変わり、探偵と助手の関係も不定なのが特徴かな。事件によって語り手のワトソンに徹することも、助手の少女を引き連れ探偵をやったりもする。
四つの事件を語り終え、その果てにつながった現在で何が起こるか。ホームズパスティーシュをやりたいのかと思わせて、実はラブコメをやりたかったのだという、あとがきの作者の思いは存分に伝わった。どっかしら興味が惹かれたところがあれば手にとって見ていいのではないでしょうか。