- 作者: アサウラ,Bou
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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なんか銃フェチ小説でした.銃を持った14歳の少女,ってのが出版社としてのウリなのかもしらんけど,作者からしたら少女を出すことは賞を獲るための妥協だったんじゃないかしらと思えた.少女の描写より銃に関する薀蓄を語る男たちの方がずっと生き生きして見えたし分量的にもかなりを占めてたんだもの.
作者の銃に対するこだわりやフェチズム(愛とは呼んでやらん)が文面からひしひしと伝わってくるのは良かった.私は銃とかミリタリとかとんと興味が無かったのでわからない専門用語も多かったのだけど,そのせいか,この手の小説にありがちな退屈や眠気を感じることなくさくさく読めた.あれだよ,自分の趣味について一方的熱心に語りかけてくるひとを生暖かい目で見守る一般人みたいな視点に入ったよ.
主人公紅花の描き方なんかはちょっと類型的かな,と思ったけど,リアリティは無くとも容赦ない暴力とカタルシスのあるVシネ的世界観と,オーソドックスに描かれた少女の成長の食い合わせが案外悪くない.素直に楽しかった.
この路線を続けるとなると弾切れが早いんじゃないかなーって不安もあるけど,期待して見ていきたいと思う.